満州国は、1931年(昭和6)満州事変の結果、中国東北部(満州)と内モンゴルを主な領域として翌年設立された日本の傀儡(かいらい)国家です。
日露戦争(1904~5年)によってロシアから遼東半島南部の「関東州」租借権並びに東清鉄道と付属地を得た日本は、「南満州鉄道株式会社(満鉄)」を1907年(明治40)に設立して営業を開始しました。満鉄は鉄道経営を中心に80社に上る事業所を経営し、社会施設としての学校、病院、衛生研究所、消防署等々の施設の経営管理も行っていました。日本は満州を原料資源の供給地とするとともに、対ソ戦略の基地として重視していました。
祐生に送られてきた満州資料は、大正時代から「満州旅行案内」等がありましたが、量的に増加するのは満州事変以降でした。地域から軍人として満州に出征する人はかつての教え子であり、祐生は満州からの便りを期待していました。また、我楽他宗の仲間も「大連別院」を立ち上げており、多能趣味の人達からの満州ももたらされました。祐生に届いた満州からの贈り物はポスター、チラシ、名所旧跡の旅行案内や絵葉書、満州の郷土玩具に加えて多能趣味人の作る手拭に至るまで二千点を越えます。これらの品々から遥かなる満州を夢見ていたと思われます。
一方、国策によって満州に渡っていた多くの日本人は、戦争終結によって難民となり、国の保護もないまま引き揚げるしかありませんでした。その苦難は筆舌に尽くしがたく、南部町在住遠藤治男氏の安東(現丹東)からの引揚げ記録も展示しています。
満州国建国から85年となる本年、日本人に夢を抱かせた満州資料を通して、戦争への思いを致していただけたら幸いです。【展示資料340点】。
祐生出会いの館 猪原加代子
開催期間 | 8月5日(土)〜9月25日(月) |
開催時間 | 9:00~17:00 |
休館日 | 火曜日 |
入館料 | 一般:300円、高校・大学生:200円 |
問い合わせ | 南部町祐生出会いの館 西伯郡南部町下中谷1008 TEL/FAX0859-66-4755 |