あげそげコラム

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コラム掲載号:20170421

東京・浅草で生まれた画家・山下清(1922-1971)。

  • 《ロンドンのタワーブリッジ》貼絵 1965年 (C)清美社
    《ロンドンのタワーブリッジ》貼絵 1965年 (C)清美社
  • エッフェル塔前の山下清
    エッフェル塔前の山下清

 波乱に満ちたその生涯は、芦屋雁之助や塚地武雅らが演じた映画やテレビドラマによって、ご存知の方も多いことでしょう。

 そのため、清は放浪先で精力的に絵を描いていたようなイメージが定着していますが、実際の彼は放浪で画材を持ち歩くようなことはありませんでした。清は行く先々で見た風景や、人々の暮らしを克明に自分の心に焼き付け、数ヶ月後または数年後に貼絵やペン画などで表現し、多くの作品を残したのです。

 色紙(いろがみ)を指で細かくちぎり、のりで丹念に貼り込んでいくことで生み出される色鮮やかな「貼絵」により、独自の画風を確立した清は「日本のゴッホ」とも称され、日本各地で個展を開催しました。

 さらに39歳のとき、清は「日本国中ほとんど歩いてしまったので、どうしても外国を見物したい」と、初めてのヨーロッパ旅行に出かけます。今回、ポスターにも使用している《ロンドンのタワーブリッジ》は、そのとき残したスケッチをもとに、4年後に制作した貼絵作品です。がっちりした骨組のタワー、船に居並ぶ乗客、テムズ川の波のゆらめき清の心に写し取られたロンドンの風景が、細かな色紙のチップとこよりで表現され、目の前に広がります。 

 今回、米子市美術館で開催いたします「放浪の天才画家 山下清展」では、実際に清が何を考え、何を感じながら作品を生み出したのかという視点に立ち、画家、そしてひとりの人間としての山下清の真の姿に迫るべく、代表作の貼絵《長岡の花火》《桜島》をはじめ、油彩《ぼけ》や水彩画、ペン画、陶磁器の絵付けや愛用品のリュックサックなど約130点を紹介します。

 あわせて、清が倉吉を訪れた際に制作した石版画《松江城》など山陰ゆかりの作品も特別展示します。

 また会期中は、清の甥である山下浩氏による講演会『家族が語る山下清』やギャラリートーク、合唱団「コール・凛 -Ring-」によるミニコンサートなど関連イベントも多数行います。この機会にぜひご来場ください。

(詳細のお問い合わせは米子市美術館[電話34-2424]まで。)

(米子美術館)

 

米子市美術館HPhttp://www.yonagobunka.net/y-moa/
あげそげイベント情報http://agesoge.com/event/6793/

 

 

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