手拭いは古い時代には麻を用い、手巾(しゅきん)と言われました。文献としては平安時代の『延喜式』(927)に記されているものが最も古いとされています。
江戸時代になると木綿の栽培が盛んになり、生活用品として庶民の間に広まっていきました。実用として使われる一方、おしゃれな小間物として持ち歩かれるようになりました。また、歌舞伎で被(かぶ)り物などに使われたり、贈答や祝儀として配られたりして、様々な用途に広がりました。明治時代には繊維産業が隆盛になり新たな染色技術が考案され、さらに複雑な図柄にも対応できるようになりました。大正時代になると、趣味家の間で構図や染色の妙を楽しむ風雅な趣味手拭いが求められるようになり、高雅な意匠を競うようになり今日に続いています。
板祐生(いたゆうせい)は、大正時代から昭和時代の初期にかけて、趣味手拭い、名所遊覧記念手拭い、配り手拭い等約500本の手拭いを収集しました。趣味手拭いは、柳屋画廊(大阪)、花田屋呉服店(新潟県柏崎)、「丹頂会」(東京)、「美蘇芽会」(中国大連)、「多能趣味会」(名古屋)などで作られ、この人達との交流の中で恵贈いただいたものが多数あります。祐生はこの趣味手拭いの感動を私家本富士乃屋草紙第29号『草にそよぐ』で紹介しています。
本展では、祐生コレクションの中から趣味手拭いを中心に約60点を展示しています。この機会に祐生の愛した手拭いの世界をお楽しみください。
【開催期間】 | 1月21日(土)~4月3日(月) |
【開館時間】 | 9時~17時 |
【休館日】 | 火曜日 |
【入館料】 | 一般300円、高校・大学生200円 |
【お問合せ】 | 南部町祐生出会いの館 南部町下中谷1008 TEL0859(66)4755 |
祐生出会いの館 中尾慶治郎