米子第九合唱団が恒例の演奏会を開く。
指揮の松岡究(はかる)さんは一九八七年デビュー以来、鳥取県ではミンクス室内オーケストラの、また東京では東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者として高い評価を得ておられる。楽曲についての造詣も深く、曲の意味やその場の演奏の仕方などについての的確な指導で大好評だ。
三月十二日(日)14:00開演(13:20開場)米子市公会堂大ホール。指揮松岡究、米子第九合唱団。演奏はミンクス室内オーケストラ。入場券一般千五百円(当日千八百円)高校生以下当日とも五百円。
曲目はモーツアルト作曲「レクイエム」(いわゆるモツレク)。ボブ・チルコット編曲「日本の歌による5つの合唱曲」より。モーツアルト作曲交響曲第36番「リンツ」
ソプラノ寺内智子大阪音楽大学声楽科卒業。同専攻科修了。関西二期会、加古川シティオペラ、鳥取オペラ協会、日本演奏連盟、各会員。
アルト三宮(さんのみや)美穂。大分県出身。東京藝術大学声楽科卒業。同大学院修士課程(オペラ科)修了。大分二期会、二期会会員。
テノール松原友。東京藝術大学卒業。同大学院修了。同志社女子大学、相愛大学、大阪音楽大学、大阪府立夕陽丘高校各非常勤講師。東京二期会会員。
バス渡邉寛智(ひろのり)国立音楽大学声楽科卒業、同大学院修了。京都市立芸術大学大学院博士(後期)課程荏籍中。現在、島根県立大学短期大学部非常勤講師。
「モツレク」は彼の最後の作品。一七九一年七月、鼠色の服をまとった見知らぬ訪問者がレクイエムの作曲を依頼する手紙をモーツアルトに渡す。当時のモーツアルトは病に冒され経済的にも苦しい状態で依頼を引き受けるが、依頼者の不吉な印象に自分自身の死を予感したようだ。
十四章からなるこの曲の第八章「ラクリモーサ(涙の日)」までを作曲して、彼は三十五歳の若さで死没。死の前日、同年十二月四日午後、彼は見舞いに来た友人たちと「涙の日」を試唱し感涙にむせんだという。曲はその後弟子のジュースマイヤーによって完成した。
モーツアルトは最後までベッドでジュースマイヤーにレクイエムについての作曲指示をし、臨終はまだ口でレクイエムのティンパニの音をあらわそうとするかのようだったと言われる。
一九六四年になってこの匿名の依頼者がヴァルゼック伯爵という田舎の領主であり、当時の有名作曲家に匿名で作品を作らせ、それを自らの名義で発表するという行為を行っていた。彼が同年二月亡くした妻の追悼のためにモーツァルトにレクイエムの作曲を依頼したのが真相だった。
(河中信孝)