デジタルあげそげ

　昨年八~九月に続く今年度二回目の満州国ポスター展です。

　今回の七三点の展示は、日本の侵略に反対する国際連盟から派遣されたリットン調査団に対する歓迎のポスターから始まります。また、国内向けには、満州国建国によって治安が改善され、生活の向上が図られていることを強調しています。そして、それは保甲制度を守ることによって維持されるというイデオロギーの浸透に向けられています。

　しかし、満州国建国は関東軍の起こした満州事変から始まっていて、その背後には軍隊の存在があります。治安を始めすべての場面で、軍によって統制の取られていることが周知されていました。

　ポスターの中には、現地の人々が伝統的に信仰している神が満州建国を祝福していたり、満州国に財宝を授けたりしているものがあります。人々がこれらの構図を信じたとは思えませんが、気持ちを和らげたいと思う為政者の立場が伝わってきます。

　祐生は渡満する人たちに餞別をし、身の回りにある物を送ってくれるよう依頼しました。祐生の収集物の多くは、生活の中に存在している物で、収集の対象にはなり難く、満州に限らず今日に残されていません。これらの貴重なポスターを是非、ご覧ください。

(祐生出会いの館　猪原加代子)