板祐生作の年賀状は、人を引き付けてやまない。『続芸術家の年賀状』(山田俊幸編二玄社)に取り上げられている芸術家73人の中で紹介されている年賀状は、祐生が15枚で最も多いです。交流した武井武雄、前川千帆、山内神斧、橋本興家等々の巨匠を押さえて堂々の一位です。どこからその魅力が出ているのでしょうか。
1934年(昭和9)武井武雄の主宰する年賀状交換「榛の会(当初は版交の会)」が結成され、翌年から開始されました。この会は趣味の人たちとは異なり、版画作家50人で構成されていましたが、祐生にも誘いがありました。祐生は版画作家ではないという理由で断りましたが、翌年、武井武雄から再度熱心な勧誘があり、第二回から参加し、1956年(昭和31)最終回の作品を送って他界しました。
これらの交流から祐生は趣味人によって鍛えられ、版画作家の影響を受けながら進歩し、作品は芸術家の域へと昇華したと言えます。
このたび、祐生年賀状252点と趣味の人たちの宝船を展示しました。祐生は自らの年賀状の外に、交流した人たちの賀状も数多く制作しています。残された年賀状から、交流の姿も類推することができます。趣味人と版画作家両方の気韻を合わせ持つ、祐生年賀状をご鑑賞ください。
(祐生出会いの館 猪原加代子)
【開催期間】 | 令和6年1月22日(月)まで |
【開館時間】 | 9時~17時 |
【休館日】 | 毎週火曜日、年末年始(12月29日〜1月4日) |
【入館料】 | 無料 |
【問い合わせ】 | 南部町祐生出会いの館 西伯郡南部町下中谷1008 TEL/FAX 0859(66)4755 |