あげそげコラム

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コラム掲載号:20231103

米子市民劇場『ある八重子物語』

 映画・演劇・音楽などの文化鑑賞団体は同好の士が集まって、よいものを安く…の願いを叶える大切な取り組み。一人ではできないことを可能にする重要な仕組みなので、我儘を抑えて盛り上げることによって、自分にも利益がもたらされる。

 今月の米子市民劇場は「劇団民藝+劇団こまつ座公演ある八重子物語」作=井上ひさし、演出=丹野郁弓。

 

 

 十一月十五日(水)開演 夜6時30分。米子市公会堂大ホール。会員制だが前日入会可。◆会費(月額)一般二千五百円・学生千五百円・高校生以下千円。当日会場内無料託児所あり

 新劇から出発して新派で活躍し た初代・水谷八 重子(1905~1979)。「世の中がいまより少しでもましになりますように」という新劇の考え方に影響を受け、〈女優〉という新しい職業の確立をめざした時代の先駆けとして知られている。

 新派を愛する人びとによって語られる八重子の芸と生きざまとは…。

 

【あらすじ】

 

 井上ひさし流の爆笑とユーモラスな筆致で、「滝の白糸」「婦系図(おんなけいず)」「日本橋」「明治一代女」など新派劇の代表的な舞台や名台詞も散りばめられて物語が展開します。

 初演は水谷八重子十三回忌追善・新派特別公演として1991年新橋演舞場で上演。ひさし版〈昭和と女優〉ともいえる傑作戯曲を、民藝+こまつ座提携で2020年、2021年に東京で好評上演、待望の全国巡演です。

 

【上演時間】

 

 第1幕40分(休憩10分)第2幕70分(休憩10分)第3幕45分。

 

 神田川が隅田川へと流れこみ、花街として栄えた柳橋。

 舞台は、昭和16(1941)年から敗戦直後の昭和21(1946)年にかけての柳橋・古橋医院。

 ここに集う人びとは、水谷八重子に心酔する古橋院長を筆頭に、事務方、看護婦、女中まで全員が大の新派マニア。患者の身の上話も、たちまち「婦系図(おんなけいず)」風の筋書きに。そこへ八重子そっくりの「音楽のような声」をもつ芸者・花代が登場、恋愛事件もわきおこって大騒動……。

問い合わせ 0859-33-8695

 

(河中信孝)

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