当館に所蔵する掛け軸は130点で、祐生収集物の中で最も少ないコレクションです。高僧の書や歌舞伎役者の隈取、画家の作品など貴重なものもありますが、多くは生活の中で使われていたもので、すすけたり破損していたりしたものを祐生が譲り受けて収集したものです。当時は身近に存在したものであったと思われますが、今日では目にすることのない貴重な存在となっています。祐生の収集物は、生活の中に「今」存在する物を後世の参考にしたいと思うことから出発しており、100年たった今日では過去を振り返る絶好の資料となっています。当館ではこれらの掛け軸を順次表装し直し、補修に努めています。
本展では、これまで修復してきたものを中心に、「願いをこめた」掛け軸をテーマにして39点展示しました。雛段や天神の姿は子供の健全な成長への願いがあり、神仏には家族の平穏な生活を祈る気持ちが込められています。これらの掛け軸から、かつての時代、願いを託した人々の祈りを感じていただければ幸いです。
(祐生出会いの館 野口 玲子)
【開催期間】 | 令和5年3月27日(月)まで |
【開館時間】 | 9時~17時 |
【休館日】 | 火曜日 |
【入館料】 | 一般:300円、高校・大学生:200円 |
【問い合わせ】 | 南部町祐生出会いの館 西伯郡南部町下中谷1008 TEL/FAX 0859(66)4755 |