板祐生は趣味人たちとの交流を通して、色々な品々を収集しながら自らの作品を生み出し、完成度に磨きをかけました。
大正8年、三田林蔵の主宰する「我楽他宗」入会と同時に趣味人との交流が開始されました。大正13年には、我楽他宗会員の鈴木祥湖、田中政秋が中心となって「東都肉筆納札会」を結成し、毎月テーマに沿って風情ある絵柄の納札を交換し、昭和2年まで続きました。同年、松田章太郎、大村喜久次が中心となって版画絵葉書を交換する「好刻会」が開始されました。当館に残された会員名簿は昭和9年の年賀状案内が、最後となっています。翌昭和10年には武井武夫の主宰する版画作家の年賀状交換会「榛(はん)の会」が開始され、祐生にも勧誘がありました。翌年の第2回から参加し、昭和31年最終回の作品を送って他界しました。これら一連の交流を通して、祐生は趣味人と腕を競い、版画作家の影響を受けながら作品は芸術の域へと昇華されていきました。
本展では、祐生と交流のあった人たちの年賀状と宝船を244点展示しています。これらの作品からは趣味人たちのお正月を楽しむ気持ちを相手にどう伝えるか、心躍る表現が見られます。縁起物の宝船は、様々な宝物が積み込まれたり、七福神が乗っていたりする様子などがそれぞれの豊かな感性で描かれており、めでたい気持ちがあふれています。ぜひ、趣味人たちのお正月を楽しんでいただきたいと思います。
(祐生出会いの館 野口 玲子)
【開催期間】 | 令和5年1月23(月)まで |
【開館時間】 | 9時~17時 |
【休館日】 | 火曜日 |
【入館料】 | 一般:300円、高校・大学生:200円 |
【問い合わせ】 | 南部町祐生出会いの館 西伯郡南部町下中谷1008 TEL/FAX 0859(66)4755 |