当館では、昨年開館25周年を迎えキャッチフレーズを募集しました。全国から応募された648点の中から、「情熱と知恵で集めた大正・昭和のコレクション」が選出されました。本展は、キャッチフレーズ決定を記念して開催するものです。
祐生が高等小学校を卒業後、代用教員となった明治37年は、日露戦争が開始された年でした。軍が発行した絵葉書が人気となり、国民の間に収集の気運が高まりました。教員の安月給では購入もままならず、乃木大将追悼短冊の協力者に絵葉書も送ってくれるようにお願いしたりしました。そして、収集13年目の大正5年に絵葉書一千枚収集を達成しました。その後、祐生は多くの人の協力を得てついには、五千枚にのぼる絵葉書を残しました。
転機となったのは、大阪朝日新聞に掲載されたコラム「珍道楽」に紹介された30人との交流であり、東京の「我楽他宗」33人の一員となって全国の趣味人たちとの交わりでした。祐生は経済的にゆとりのない中で都会の人たちと肩を並べた収集に挑みました。そのために、心を込めて書簡を送り、ガリ版で私家本を発行しその中に恵贈を受けた物を文章や絵柄にしてまとめ、感謝と自らの在り方を伝えることに努めました。私家本は六十数冊にのぼり、全国の趣味人から信頼され評価される存在となりました。
本展で展示している「日露戦争絵葉書」「乃木大将追悼短冊・白扇」「各種ラベル」「我楽他宗関係」「入場券・観覧券」等648点は、まさにタイムカプセルです。
経済的な格差、地理的不利な条件をものともせずに「情熱と知恵」で克服した在りし日の祐生の姿を感じていただければ幸いです。
(祐生出会いの館 野口玲子)
【開催期間】 | 令和3年5月31日(月)まで |
【開館時間】 | 9時~17時 |
【休館日】 | 毎週火曜日 |
【入館料】 | 一般/300円(240円) |
【問い合わせ】 | 南部町祐生出会いの館 西伯郡南部町下中谷1008 TEL/FAX 0859(66)4755 |