街道が整備された江戸時代、人々は三十三番札所、八十八か所霊場、著名な神社仏閣に参拝したが、旅の途中にはその土地ならではの名物があり、旅を楽しませてくれました。明治以降も旅への憬れは受け継がれ、鉄道の発達によって旅はより快適なものとなり、旅を誘う催しも企画されるようになりました。
板祐生は雑誌で広い世界を知りましたが、旅をする経済的な余裕はありませんでした。
時代の雰囲気を共有するために祐生の考えた方法は、「物」を送って貰う事でした。行けない代わりに「物」を呼び寄せる手法でした。発送の転換で実に大胆ですが、そのために自らの能力を駆使して実現に努めました。全国でも特異なコレクターです。ポスター1400枚、駅弁の掛け紙1300枚、ラベル・レッテル数千枚が祐生のもとにもたらされました。それにより祐生は田舎に居ながらにして、時代の雰囲気に浸ることができました。
このたび、祐生にもたらされた大正時代から昭和初期の旅を誘う鉄道開通を知らせるポスター、博覧会のポスター、祭のポスターに加え、駅弁掛け紙、各地の名物レッテル等を389点展示しました。祐生コレクションすべてを展示することはできませんが、時代の雰囲気を感じていただくとともに、当時においても、地方からの発信が力強く行われていたことを感じていただければ幸いです。
(祐生出会いの館 猪原加代子
【開催期間】 | 平成31年4月5日(金)~6月3日(月) |
【開館時間】 | 9時~17時 |
【休館日】 | 火曜日、年末年始(12月29日~1月4日) |
【入館料】 | 一般:300円 高校・大学生:200円(15名以上の団体割引あり) ※身障者手帳所持者と介護者1名無料 |
【問い合わせ】 | 南部町祐生出会いの館 西伯郡南部町下中谷1008 TEL/FAX 0859(66)4755 |