あげそげコラム

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コラム掲載号:20180105

あらたまの歳たちかえり…

 ご無事で越年のこと、お喜び申し上げます。お正月早々ですが、私こと旧年中は何かと物議をかもし陳謝いたしました。年頭に当たり自戒を込めて懺悔です。


 宇沢弘文経済学博士は、最もノーベル賞に近いと言われながら、惜しくも三年前に逝去された。生まれ故郷の米子市で、この「宇沢さんの教え」の重要性・緊急性を全国にひろめ、実社会にどう適用していくのか、考えることになった。


 それは社会主義者も資本主義の未来を信じる方も、第三の道が正しいと思われる人も、市民が幸福に生きていく上で、誰が考えても必要な事柄を理論化されたと、…そう愚考します。
 「よなご宇沢会」例会でも、太陽光発電パネルがやがて大量の産廃となるのをどう処理するのか、原発の廃炉が増えていくのをどうするのか、そういう指摘もあった。廃棄物問題で考えねばならないことは山積している。儲かればなんでもやる…新自由主義・市場原理主義の行きつく先は地球の破滅以外に無さそうだ。


 第1回宇沢フォーラムで、NHKの日置プロデューサーが話された。「私たちは水道や電気も取材しました。当時ブエノスアイリスの街は…例えば水道はフランスの会社、電気はスペインの会社というふうに外資が入ってきていました。…当時ブエノスアイリスの街のほぼ2割の市民が電気料金を滞納していました。そうすると…会社は次々家を回って電気メーターをはがしていくんですね。一日に3000個。電気会社の事務所に行くと、メーターの山ができています。がらくたの様に。それは、単なる山ではないと思いました。ひとつひとつのメーターは、ひとつひとつの…家庭であり、夜になれば一家の団らんを照らしていた灯りですよね。…そういうことが、水道の世界でも起きています。…」人が生きていく上に絶対大切なインフラや医療、教育とか、そういったモノがマーケットの理屈に委ねられた瞬間に…いざ悪くなった時にどんな残酷なことが起こるのかということをまざまざと見せつけられたと語った。


 淀江産業廃棄物処分場の問題は、処分場が必要かどうかの問題とは次元の違う問題で、市民の健康と命に係わる問題を含んでいる。処分場が必要だから、健康と命は我慢しろということは出来ない。ましてや、産廃処分場が必要とは言い切れない、焼いて埋めるという処理方法は止めるべきだから。
そして、安全という産廃処分場はないと識者は言う。宇沢さんが淀江を見られたら、産廃は作るべきでないときっと言われるだろう。ダイオキシン、重金属の濃度は全世界で次第に上がり、人類の生存を脅かしている。


 地下水を汚染し、海を水俣のように汚す恐れがあるものは、作ってはならない。平井知事は自らの政治生命を賭けて、賢明なご判断をしていただきたいと祈るや切。

 

(河中信孝)

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