あげそげコラム

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コラム掲載号:20171222

「太陽の蓋」ヴィレステ日吉津で

 東日本大震災~福島原発事故が起きた3月11日からの5日間。官邸で何が起こっていたのか…実名作品の迫力で、この映画「太陽の蓋」が再びリアルに思い起こさせてくれる。

 六年半の歳月を経て、東北・福島をはじめ日本列島の災厄は終わっていない。しかも、人々の記憶が次第に風化して行こうとしているのでは…と懸念されている。この映画は今何が大事かを思い出させてくれる。

 

 

 3・11東日本大震災に伴う福島第一原発の深刻な事故で日本が壊滅する恐れまであった。官邸の菅直人首相(三田村邦彦)は枝野幹事長(菅原大吉)福山内閣官房副長官(神尾佑)らと、未曽有の危機対応に追われるが、肝心の電力会社や原子力委員会はこの期に及んでも隠蔽に走ったりひたすら狼狽する有様であった…

十二月二十三日(土) ①15:30~②18:30~ヴィレステひえづ=鳥取県西伯郡日吉津村日吉津930

問合せ=さよなら島根原発ネットワーク 090-7138-0730

 

 

福島は終わっていない

 

 今年四月から放射能は高いのに避難指示区域の枠を外され、安全とは思えないのに帰らねばならない、しかし帰れない…現在も原発事故被害者の苦悩は続いている。

 国はもはや福島は終わったとばかりに、オリンピックに顔を向け、さらにアジアの戦争危機を理由に効果が疑問視されるミサイル防衛に巨費を費やそうとしている。 太平洋戦争中、筆者は空襲で爆弾が落ちてくるとき、目と耳を両手で抑えて、腹をかかえてうずくまる、道端に溝があればうつぶせに飛び込めと教えられていた。Jアラートが鳴り、ミサイルが降ってくる時に、70年前と同じ姿勢を子どもたちに取らせるしかないのは、なんとも悲しい現実だ。鳴るサイレンは70年前の空襲警報と同じで戦中派は身の毛がよだつ思いだ。

 ミサイルはその怖れを根元から絶つよう、対話・平和外交、平和憲法で解決を目指す方針を取り、当面の問題として、生活の窮迫がぎりぎりまで来ている我ら貧民に政治は温かい目配りを忘れないでほしい。 待機児童対策後回して、先の総選挙の政府の争点は「消費税の使途」で、幼児教育の無償化がその目玉だった。しかしその前に待機児童の解消が公約であったはず。それをそっちのけにして、目新しい政策に巨費を投じるのか、幼児保育対策の順序が違うとの声が多い。

 足元を忘れ、耳触りの良い政策に次々と変更して結局何もしないという方針は困る。今こそ福島に思いを寄せるとき、被災した人々の暮らしの安定を、真っ先に解決せねばならない。

(河中信孝)

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