この度、祐生の交流した多能趣味人の年賀状859点を展示しました。祐生の入会した東京の趣味会グループ「我楽他宗」の仲間は、物の収集に加えて風流に通じ、教養に基づいて絵を描き書をたしなみました。会員は多能趣味を自負するだけあって、ユーモアを漂わせるだけでなく、自らの教養や収集品の一端を表現しており、一流の趣味人であったことが分かります。祐生は毎月行われる東京・大阪の「肉筆納札交換会」に参加して雅風を向上させる一方、我楽他宗の人脈から発展して全国の趣味人にも交流を広げ、収集の協力を得ました。到来した葉書には、宛名の横に「乞雅交」と書かれたものもあり、親交を求められたものも少なくありません。
祐生の交流した異色な存在としては、松本幸四郎、中村扇省という名優や、奈良女子高等師範学校教授、帝室博物館学芸員、東京高等商船学校教授、芸術家等々に及び、交流の範囲がその道の達人にあったことをうかがわせています。当館に遺されている年賀状は「榛の会」を除き、大正12年以前、昭和3年、8年、10年、13年以降のものは失われていますが、それでも祐生の交流の姿を知るには充分です。
年賀状には干支の他、郷土玩具、似顔絵などを題材として、そのほとんどが版画あるいは肉筆で描かれており、とても見応えのある作品となっております。
近年では、メールなどの普及もあり年賀状や手紙を交換することが減ってきています。是非、この機会に祐生の交流した多能趣味人の年賀状から、絵を描く面白さや素晴らしさを感じていただくとともに、一足早い新春をお楽しみ下さい。
(祐生出会いの館猪原加代子)
【開催期間】 | 平成29年12月2日(土)~平成30年1月15日(月) |
【開館時間】 | 9時~17時 |
【休館日】 | 火曜日、年末年始(12/29~1/4) |
【入館料】 | 一般300円、高校・大学生200円 |
【問い合わせ】 | 南部町祐生出会いの館 TEL/FAX 0859-66-4755 |