あげそげコラム

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コラム掲載号:20171103

「春月に親しむ・春月と遊ぶ」展

 郷土出身の文学者・生田春月の展示会が開かれる。

 春月の研究家・広野晴彦さんが収集した膨大な資料の中から、曽根義博教授(故人)が七百点余を日本近代文学館(東京・駒場)に寄贈された。

 上田京子さん(著書「生田春月への旅」でも著名)は数奇な出会いからこれらの資料に触れ、新出資料を読みこなしたが、今回その中からいくつかの貴重資料を展示する。

 

 

その目玉は…

①春月十二歳で淀江の太田史郎らと作った回覧雑誌『天使』。存在は夙にわかっていたが、原本が見つかった。造り酒屋であった春月の家が傾きかけてはいるが、一家を挙げて朝鮮にわたる前の多感な少年時代、一九〇四(明治37)年7月に作られた「七号」と「八号」。

②朝鮮に渡ったが、日本に帰って文学の修行をしたい一心の春月が、米子だけでなく名古屋・大阪・松江などの同人と作った回覧雑誌『ていせう(低唱)』。春月十五歳で中央の投稿誌に寄せた仲間と組んで作ったもの。

③短編集『戦慄(せんりつ)』およそ二百ページ。春月十六歳の作。扉に「この哀れなる一巻を生田長江先生に献ず」とあるところから、長江に見てもらって酷評を受けた作品(春月の才能を否定したものではないが、無理からぬ批評だった)ではなかったかと思われる。

 青春の苦しみのはけ口として書き綴った貴重な原稿が展示される。

④「足立史郎と春月はじめプロジェクト」の労作による「詩はことばの音楽」。春月の詩およそ四十編が作曲されているが、その楽譜、レコード化されたもの、春月作「相寄る魂」の主人公をイメージした興味溢れる写真などを「遊び感覚」で展示する。

十一月七日(火)~二十六日(日)米子市立図書館2階市民ギャラリー 主催・春月会。共催よなごの宝88選実行委員会、協賛森田尾山・淀江中学校十五期生有志。

問080-1636-5107

 

 

本池秀夫革の世界展

 

 世界屈指の革のアーチスト・本池秀夫さんが全国各地で十万人を動員した展示会を安来市で開く。

 

 

今日から二十六日(日)まで安来市総合文化ホール・アルテピア(9:30~17:00・休館火曜・安来市飯島町70)入場料六百円(前売り五百円)高校生以下無料。ギャラリートーク、ワークショップあり。 全長4メートルのアフリカ象をはじめ、人形動物革絵などを展示。

問合せ 0854-21-0101

 

(河中信孝)

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