あげそげコラム

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コラム掲載号:20200821

地球環境を守る考え方の転換?

 最近の異常気象現象は筆舌に尽くしがたい被害をもたらした。この地方でも河川の増水や決壊などの危険は感じてきた。

 2018年の西日本豪雨、2019年の台風19号のような近年の異常気象被害が温暖化と異常気象を結びつけるきっかけなっている。

 江守 正多(えもり せいた)さんは地球環境問題、地球温暖化の専門家で、地球環境研究センター副センター長。2013年の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第5次評価報告書の主執筆者だ。

 最近、江守さんの「なぜ日本人は気候変動問題に無関心なのか」という論文に触れて、教えられることが多かった。

 それにしても筆者を含めての無関心層が科学的知見に目を向けず,触れたとしても受け止めずにやり過ごしている原因は、江守さんの主張では「対策行動の負担意識」つまり温暖化対策には時間や手間をはじめ何らかの負担がかかると考えるのが原因だとする。

 しかし、問題に関心のある個々人の努力では、日本人の大部分が個人の力を尽くしたとしても、気候変動対策の目標達成には足りないことが明白だという。

 江守さんは「システムの変化を起こすことを最優先で考え」れば、社会の構成員の大部分が関心を持つ必要は必ずしもない。

例えば現在の「分煙社会」は健康増進法で受動喫煙防止を義務化され、飲食店等も当然となり,大多数の喫煙者が分煙ルールに従うというシステムの変化が生じたからだ。

 この変化は,受動喫煙の健康被害を立証した医師、嫌煙権訴訟を闘った原告や弁護士などの「声を上げた人たち」に加え,それらを支持した一部の人たちの存在に因ったのではないか。そして、社会の構成員の大部分は無関心でいるうちにいつの間にか生じたシステムの変化に受動的に従っただけで、これだけの変化がうまれたのだ。

 江守さんは「環境配慮行動をとる人々を大勢増やすのではなく、本質的な関心を持つ人々とその支持者を増やし、システム変化を起こすこと」を目指すという認識を明確に持つべきであり、他の問題は付随して解決するのではという。筆者の乱暴な要約が誤っていればお詫びして訂正します。

 

(河中信孝)

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